今日が最後の日みたいに生きる、毎日、デンマークで。

デンマークでの学生生活の日々の記録。

攻防戦

昨日の幼稚園。
昼ごはんを食べてから幼稚園に行くと、年長さん組が森で遊んでいた。
みんな思い思いに遊んでいる。
3人の女の子がブランコの周りで遊んでいた。
ブランコは木にロープがひっかけてあるような簡易的なもの。

1人がブランコを使っている間は、残りの2人が列を作って待っているんだけど、しばらくするともちろん代わってよ、という話になる。
年長さんなので、言葉が上手な分だけそのやりとりを見ているのがおもしろい。
『次は私の番だよ』
『まだちょっとしか使ってないよ』
『長い時間使ってるよー』
というおそらく万国共通のやつ。
そして私だけ一応大人なので、第三者としての意見を求めてなのか、それぞれの言い分を私に言ってくる。
普段から、幼稚園の先生達は子供に主体性求めている雰囲気なので、
『こういってるけど、どう?』とか
『あなた達が決めていいんだよ。』と、あくまで仲裁役に徹する。

そうすると、『あと◯回数えたら代わって』とかそういう話になる。
内心、数え終わっても譲らなかったらどうしようといつもハラハラしているけど、年長さん女子の場合はまあまあ穏便に事が進む。
年少さん男子とかだとこうはいかないけど。

次の子に交代して、しばらく平和な時間が続いて、思い出したように『代わってー』。
そして、『まだちょっとしか遊んでない』と必ず抵抗。これは普段すごく大人に感じたり、素直な子だとしても絶対抵抗。不思議だしおもしろい。
自分の意見を一生懸命言って、相手の言い分を覆そうとする様子はなんだかとても頼もしい。
日本の幼稚園で働いたことはないけど、たぶん一緒なんだろうな。
こういうことを繰り返して、学ぶんだろうな。我慢することとか、衝突することとか。
今ホイスコーレで私が繰り返している日常も、結局ベースはここにある。やってることはそんなに違わない。

ただ、子供だから言い分がかわいい。
普段デンマーク語話者の先輩方として私が羨望の眼差しを向けている彼女達でさえ、言葉を間違えているのが微笑ましくもある。
『10分数えたよ』(本当は10回とか10秒とか言いたいらしい。)とか。

途中、先生が『ごはんの時間だからみんな集まってー』と声をかける。
ブランコを今使っている子と次に使える子は、『お腹すいてない』とその場を動かない。
先生がもう一回呼んだので、『全員集まれって先生が言ってるよ』と声をかけるも、『お腹空いてない時は行かなくていいんだよ』とのこと。
先生に『こう言ってますが』と指示を仰ぎに行くと、『説得して連れてきていいよ(あなたに権限があるよというニュアンス)』と言われた。
もう一回その子達を呼びに行くと、一人の子は泣いていた。
『ごはん食べよう?』というも泣いている。
先生が遠くから、泣いている子を名指しにしたからしぶしぶその子も先生のところに向かう。泣きながら。
先生は『食べ終わったらまた遊んでいいんだよ。お腹空いてないの?のども渇いてないの?具合が悪いんじゃないの?』と確認して、遊んでいいよということになった。
先生から解説を聞くと、『子供達はブランコから離れたくないから、お腹が空いていても空いていないということがある。彼女はもうすぐ小学生だし、泣かないで自分で説明させたかったから呼んだ。』ということだった。勉強になります。
私は言葉が不自由な分、説得とか諭すとかほとんど出来ないからもどかしい。
それでもたくさん学ぶことがある。幸せだ。

ブランコをめぐる攻防戦は繰り返されたものの、けんかにもならず、上手に遊んでいるなと思った。
毎回少しずつ聞き取れる言葉が増えているのがうれしい。
その日授業で習った言葉がまさに使われていたりすると感動。
私の名前を子供たちが呼んでくれるのも至福!独特のイントネーションで。

疲れはするけど、その何倍も心が満たされる。ほんとーーーーに。